『華政』で描かれた貞明公主の物語「第2回」

弟を奪われた貞明公主

李爾瞻と金介屎が次に狙ったのが永昌大君である。
側室から生まれた光海君と違い、王の正室から生まれた永昌大君には相応の支持者がいた。このことを危惧した李爾瞻と金介屎は、永昌大君が謀反を起こそうとしたという容疑をでっちあげて、わずか7歳の子供を仁穆王后から引き離して江華島(カンファド)に流罪にしてしまった。
永昌大君が連れ去られるとき、彼は「姉上と一緒でなければ行かない」と駄々をこねた。大好きな姉の貞明公主と別れるのが絶対に嫌だったのだ。
しかし、光海君の一派は母親の仁穆王后から無理に永昌大君を引き離し、泣き叫ぶ子供を強引に島流しにしてしまった。
3歳下の弟を溺愛していた貞明公主。彼女はまだ10歳だったが、弟と引き離されて涙がかれるほど悲しんだ。
江華島に流罪となった永昌大君。母と姉から引き離されて、どれほど寂しく心細い日々を過ごしたことか。




そんな子供に、さらなる魔の手がのびる。
1614年、李爾瞻と金介屎が送った刺客は、永昌大君がいた部屋のオンドルの温度を異様に高温にした。それによって、永昌大君は蒸された状態で命を断たれてしまった。実に、残酷な死に方だった。
我が子を失った仁穆王后は絶望の穴に落とされた。
それは、姉の貞明公主も同じだった。
そんな2人に対して、光海君はさらにひどい仕打ちをした。
仁穆王后の大妃(テビ/王の母)という資格を剥奪し、王女であった貞明公主を庶民に格下げにした。そのうえで、2人を西宮(ソグン/現在の徳寿宮〔トクスグン〕)に幽閉してしまった。
こうして、2人にとって長く苦しい監禁生活が始まった。
(第3回に続く)

文=康 熙奉(カン ヒボン)

『華政』で描かれた貞明公主の物語「第1回」

『華政』で描かれた貞明公主の物語「第3回」

『華政』で描かれた貞明公主の物語「第4回」




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