『トッケビ~君がくれた愛しい日々~』の設定は奇抜だ。主役のキム・シン(コン・ユ)は高麗時代の武将で現代まで900年も生き続けている男……「またか」と思わざるをえないところもあった。そういう時空を超えて生きる人間の設定は韓国ドラマに多いからである。しかし、『トッケビ』は内容がまったく違った。そこが、このドラマの凄いところなのだ。
根源的なテーマ性
『トッケビ』の主人公のキム・シンは人間の姿をしているが、むしろ霊的な存在とも言える。
彼は、900年前に主君に裏切られて、妹や家臣を失い、自分も命を落としかけた。
しかし、結局は死ぬことができず、胸に剣を刺したまま現代までトッケビとしてさまよい続けている。
キム・シンの人生が終わるとき……それは、結婚して花嫁によって胸に刺さった剣を抜いてもらうときなのだ。そうすれば「不滅の命」が終わる。長く苦しんだキム・シンもそれを望んでいた。
そして、キム・シンはついにウンタク(キム・ゴウン)という最適な女性を見つける。しかし、彼女の魅力に気づいてから、心境に大きな変化があらわれてくる。
このあたりのストーリーの展開は見事だ。見ているほうは、「ハラハラ、ドキドキ、納得」の連続だろう。
キム・シンとウンタクに加えて、生を終えた人を天界へ誘導する仕事をしている死神(イ・ドンウク)や、彼とラブストーリーを繰り広げるサニー(ユ・インナ)が登場して、物語がさらに重層的になっていく。
とにかく、それぞれのキャラクターが生き生きしている。口にするセリフも味わいがあり、娯楽性の高いストーリーの中で「生」と「死」という根源的なテーマ性が深い意味を持ち続ける。
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コン・ユ主演作を韓国の視聴者はどう評価したのか/トッケビ全集9