コン・ユが導く世界が人間の生死を乗り越えていく/トッケビ全集11

実に不思議な世界観が展開されていた。『トッケビ~君がくれた愛しい日々~』のことだ。奇怪な人々が次々に登場して、ドラマは「常識」では想像もできないような時空を行ったり来たりしながら、様々な人間の生死を視聴者に植えつけていった。

写真=tvN『トッケビ』公式サイトより




人間は四度の人生を経験する

高麗時代の王に裏切られて胸に剣が刺さったまま900年間さまよい続けているキム・シン。
彼はなぜ900年も生き続けているのか。
それは、剣を抜けないからだ。胸に刺さった剣こそが、キム・シンを苦しめる元凶なのである。
その剣を抜いてもらえれば、彼は安らぎの世界に行ける。
しかし、その剣を抜けるのはトッケビの花嫁だけだ。
そんな花嫁はどこにいる?
キム・シンはずっと探しつづけてきた。世界中をさまよいながら……。
そして、ようやく見つけた。
それが高校3年生のウンタクだった。
ウンタクは、幽霊が見える女性だった。不幸な生い立ちなのだが、キム・シンと出会ったことで、900年も生きている男の命運を握る絶対的な存在になった。
彼女はドラマの中で「人間は生まれ変わって四度の人生を経験する」という輪廻転生を教えられる。
その四度とは?
一度目は種を植え、二度目は水をやり、三度目に収穫して、四度目に食べる……。
それはすなわち、人間が「生」と「死」が交差する世界を何度も往来することを意味している。




つまり、「死」は終わりではないのだ。
次に生まれ変わるための始まりなのだ。
それを象徴するのが死神の存在だ。
死神は死にゆく人々を天界に導く役割を持っているのだが、決して悲観的な存在ではない。どことなくコミカルで、愛着すら感じてしまう。つまり、死神こそが「死」が終わりではなく始まりであることを如実に示していた。
こうして『トッケビ』の主要な3人が出そろった。
演じる俳優が絶妙だ。
キム・シンに扮しているのがコン・ユ。
ウンタクを演じているのがキム・ゴウン。
死神にはイ・ドンウクが成りきっている。
(ページ2に続く)

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