儒教思想が今も色濃く残る韓国では、年上の人を尊重することは基本中の基本である。古来より「東方礼儀之国」として、周辺諸国から賞賛を得ていた韓国においては、年上の人を尊重するということは、とりもなおさず年上の人に対する礼儀作法をわきまえるということになる。
身内にも敬語を使う
韓国の礼儀作法……挨拶の仕方から言葉使い、食事のマナー、果ては電車やバスで席を譲ることに至るまで、日常生活の隅々に浸透している。
そのため、韓国では学校であれ職場であれ、互いに「何年の生まれか?」を訪ねることが多く、年齢により相手との距離を測る傾向がある。
しかし、最近は若い世代の間で、儒教的な考え方が重要視されなくなってきているのも事実だ。これはインターネットをはじめとした情報化社会の到来により、韓国にいながらにして異国の文化や価値観を容易に知ることができるようになったためかもしれない。
また、軍隊や大学では年齢より入隊年もしくは入学年で上下関係を決定する傾向があることも影響している。
しかし、両親に敬語を使うことは今も守られている。
これも年上の人に対する礼儀作法の一つであり、年の近い学校や職場の先輩であっても敬語が使われる。
また、韓国では日本のように尊敬語・謙譲語・丁寧語と敬語の種類が分かれていないが、身内でも敬語を使う傾向が強い。例えば、取引先の客から社長宛てに電話が掛かって来たときは、「金社長様はいま外出されております」と答える。そして、自分の両親を誰かに紹介するときにも、「私の御両親様は……」となるのである。
日本では、「金はいま外出しています」「私の両親は……」と言うはずだが、韓国はまるで違うのだ。
構成=「韓流テスギ」編集部