韓国ドラマを見ているとよく出てくるシーン……子供が誕生日になると、お母さんがワカメスープをかならず作ってくれます。それ以外にも、韓国ではワカメスープがよく食卓にのぼります。なぜ、これほど重宝されるのでしょうか。
どんなときに食べる?
韓国の人はワカメスープが大好きです。
ワカメにはミネラルが豊富にあり、栄養が満点です。そういう理由もあって、妊娠がわかると、さっそく妊婦はワカメスープを連日のように食べます。
ワカメでしっかり栄養を取ろうというわけです。
無事に出産すると、さらにワカメスープの出番です。
ワカメには母乳の出をよくする効果があると韓国では信じられていて、授乳期にはワカメスープが欠かせないのです。
さらに、ワカメスープの出番があるのが誕生日です。お母さんは子供の成長を願って、かならず誕生日にワカメスープを作ります。
子供のことを案じるお母さんの真心がワカメスープの中にしみこんでいるのです。
もちろん、子供のほうも、産んで育ててくれたお母さんに感謝しながら、ワカメスープをおいしく食べます。
韓国ではこういう習慣があるので、ドラマでもかならず「誕生日にワカメスープ!」のシーンを用意します。
それを見る視聴者は、自分の家庭のことを思い出しながら、心がホカホカしてくるのです。
これほど韓国の家庭で重宝されるワカメスープですが、絶対に食卓に出してはいけない時期があります。
それはいつでしょうか?
家庭に受験生がいるときです。
ワカメはツルツルしていて「すべる」というイメージがあり、韓国では「ワカメを食べる」というのは、「受験に失敗してしまった」という意味になることがあります。
ですから、受験の日はもちろんのこと、受験日が近づいてきたら、お母さんは受験生にワカメスープを食べさせてはいけません。妊娠や出産のときとはまったく逆のことが起きるのです。
ワカメとは逆に受験生に重宝されるのが水飴です。粘り気があって「くっつきやすい」という印象があるので、「合格」とイメージが重なります。
それゆえ、韓国では受験の時期になると、両親が受験生の志望校の門や塀に水飴をくっつけたりします。
日本でワカメというと味噌汁の具によく使います。
韓国では、肉や魚をダシにしたスープに使うことが多くなっています。
また、韓国ではスープや味噌汁はスプーンを使って、すくいあげるようにして食べます。スプーンにたっぷりとワカメをのせて口に運ぶときは、本当に幸福を感じます。
妊娠期、授乳期、誕生日など、人生でも特に大切なときに食べるワカメスープは、韓国の人にとって「最強のスープ」なのかもしれません。
文=康 熙奉(カン ヒボン)