コン・ユは言葉の世界に生きる詩人だった/トッケビ全集14

『トッケビ~君がくれた愛しい日々~』を見ていると、900年以上も生き続けているキム・シンという主人公をコン・ユが特別に演じたという「キャスティングの妙」を強く感じる。コン・ユはキム・シンの孤独を自分の分身のように演じきっていた。

写真=tvN『トッケビ』公式サイトより




キム・シンの悲しみ

今の世界では、多くの人が生きることに追われている。物事をじっくり考える時間を持てないのが現実だ。
しかし、コン・ユを見ていると、常に思考の中に生きているように見える。彼の真骨頂は、自分自身と周囲の人たちについて徹底的に考え抜いていることではないだろうか。それが知性につながっていく。
そういう意味でも、『トッケビ』でコン・ユが900年以上も生き続けているキム・シンを演じたのは象徴的だった。
そのコン・ユは、キム・シンの精神性にどう迫ったのだろうか。
「キム・シンという人物が持つ歴史と生い立ちが、『トッケビ』というドラマにおいてとても重要なポイントになっていたと思います。キム・シンが心の奥底に抱えている寂しさ、哀しみ、真実性……それを持ったまま生きた彼の人生と歴史が視聴者を納得させる役割を果たしたのではないでしょうか」
ここでコン・ユは「視聴者を納得させる役割」について言及している。
実際には思慮深い彼がキム・シンに扮したからこそ、視聴者は納得できる部分を持つことができたと思われるのだが、謙虚なコン・ユは自分のことをさておいて、キム・シンというキャラクターの存在感こそがドラマの生命線だったと捉えている。
「一言で言えば、900年はとてつもなく長い時間です。キム・シンが屋上から世の中を見下ろしているとき、その表情はいつも寂しそうでしたが、それは人生を達観していたからではないでしょうか」




「彼は、多くの人が死んでいくのを1人で見送ってきました。そんな悲しい感情が蓄積されていって、それが彼の表情にあらわれていたのだと思います」
「現実の世界でも、人はみんな愛する人たちとの永遠の別れを迎えなければなりません。私自身も経験していることです」
(ページ2に続く)

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