尹元衡(ユン・ウォニョン)は、11代王・中宗(チュンジョン)の継妃となった文定(ムンジョン)王后の実弟である。その尹元衡の妾となったのが鄭蘭貞(チョン・ナンジョン)であった。
ドラマは出会いをどう描いたか
妓生(キセン)となっていた鄭蘭貞は、どのようにして尹元衡に近づいたのか。
史実では定かでない。しかし、時代劇『女人天下』では、次のように描いている。
尹元衡は酒席で気に入った妓生を呼ぶのだが、部屋に入ってきたのは別人だった。実は、尹元衡が来ていることを知った鄭蘭貞が、まだ見習いの身でありながら主人に頼み込んで指名をかわってもらったのだ。
尹元衡は、別人が部屋に入ってきて一瞬だけ顔を曇らせるが、鄭蘭貞をよく見てすぐに美貌に引き込まれた。
「おまえのような美人がどこに隠れておったのだ」
尹元衡がそう言うと、鄭蘭貞はこう切り返した。
「私はまだつぼみでございます。水をくだされば、花を咲かせましょう」
尹元衡は、すっかりその気になった。
「おまえを水揚げするのはかならず私だ」
こうして、尹元衡は鄭蘭貞の虜になった。
以上が『女人天下』のストーリーだが、創作なのは明らか。実際には、もっとドロドロした駆け引きがあったことだろう。
(ページ2に続く)
朝鮮王朝三大悪女(張緑水、鄭蘭貞、張禧嬪)の哀れな最期とは?