命をかける覚悟
過去の例を見ても、多くの失敗の上にわずかな成功が乗っている。とはいえ、それでひるむ俳優や監督は臆病すぎる。
虎穴にいらずんば虎児を得ることはできないのだ。そのことは、言われなくてもチャン・グンソクが一番わかっていることだろう。
かつて詩人のリルケは、詩人志望の若者がアドバイスを求めてきたときにこう述べている。
「もしもあなたが書くことを止められたら、死ななければならないかどうか、自分自身に告白してください」
つまり、命をかける覚悟があるのかどうか、ということだ。
人生は長いが、俳優人生はそう長くない。歌手人生はさらに短い。人気という魔物が、多くの俳優と歌手から、その人生を奪ってしまうのである。
そんな人気に惑わされず、自分が一番だと信じる表現手段に命をかける。
チャン・グンソクは、そんな人生を歩んでいくに違いない。
文=康 熙奉(カン ヒボン)
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