『82年生まれ、キム・ジヨン』が10月9日から日本で公開された。この作品は、韓国で130万部以上もベストセラーとなった原作を映画化したものだ。チョン・ユミが主人公のキム・ジヨンに扮していて、コン・ユが夫のデヒョンの役を演じている。
チョン・ユミとコン・ユの演技は?
チョン・ユミとコン・ユは、『82年生まれ、キム・ジヨン』で三度目の共演となった。2人がキャスティングされたことは、この映画にとって特別に幸運なことだ。相性が合うことはよくわかるし、実際に映画を見ても2人の呼吸は合っていた。
主人公のキム・ジヨンは、別人の女性に何度も成り代わってしまうという特異な精神状態になってしまう。なぜそうなのか。韓国では女性であるがゆえに精神的に負担を強いられることが、映画の中で雄弁に語られていた。
こうして、2歳の子供を育てながら焦燥感から自分を見失っていく30代の女性をチョン・ユミは切実に演じきっていた。
コン・ユは、精神的に不安定な妻を支える夫のデヒョンを演じた。とても難しい役柄だったが、コン・ユは繊細な表情で様々な状況を映し出していた。
そして、映画の中のデヒョンは、妻のこれまでの生き方を十分に理解し、自分のほうが育児休暇を取ろうと努力していた。
そういう優しさが映画を通して十分に実感できたし、コン・ユだからこその優しさが観客によく伝わってきた。
実際に、チョン・ユミとコン・ユの演技によって、小さな子供を持つ夫婦であれば様々な困難が起きることを映画は如実に物語っていた。しかも、周囲の助けが大きな救いになった。
そういう意味で『82年生まれ、キム・ジヨン』は、未来に向けて希望が持てる映画でもあった。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
【あらすじ】これは私たちの物語。未来の希望につながる物語。
結婚・出産を機に仕事を辞め、育児と家事に追われるジヨン(チョン・ユミ)。常に誰かの母であり妻である彼女は、時に閉じ込められているような感覚に陥ることがあった。「疲れているだけ、大丈夫」。そう夫のデヒョン(コン・ユ)にも自分にも言い聞かせる彼女だったが、ある日から、まるで他人が乗り移ったような言動をとるようになる。その時の記憶はすっぽりと抜け落ちている妻に、デヒョンは傷つけるのが怖くて真実を告げられず、ひとり精神科医に相談に行くが、本人が来ないことには何も改善することはできないと言われてしまう。なぜ彼女の心は壊れてしまったのか。少女時代から社会人になり現在に至るまでの彼女の人生を通して、見えてくるものとは—
10月9日(金)より 新宿ピカデリー他 全国ロードショー
原作「82年生まれ、キム・ジヨン」とは
日本でも異例の大ヒット、210万部突破&2019年上半期<海外文学>堂々の第1位!
「韓国の82年生まれの女性で最も多い名前」である〝ジヨン“という名を持つ平凡な女性の、少女時代から結婚、出産に至るまでの人生に、韓国のジェンダー意識に関わる現代史や社会問題を織り交ぜながら、女性が負う重圧と生き辛さを描いた小説。
韓国で2016年に刊行されるやいなや、多くの女性の共感を呼び130万部を超える大ベストセラーに。その熱狂は海を越え、台湾、ベトナム、イギリス、イタリア、フランス、スペインなど25か国・地域での翻訳も決定。日本でも翻訳本が2018年12月に刊行されるとたちまち圧倒的共感の声が広がり、発売2日目にして重版が決定、大型書店で品切れが続出するほど
監督:キム・ドヨン/出演:チョン・ユミ、コン・ユ、キム・ミギョン
原作:「82年生まれ、キム・ジヨン」チョ・ナムジュ著/斎藤真理子訳(筑摩書房刊)2019年/韓国/アメリカンビスタ/DCP/5.1ch/118分
原題:82년생 김지영 © 2020 LOTTE ENTERTAINMENT All Rights Reserved. 配給:クロックワークス