手元に置いておけば本当に心強い本がある……たとえば、韓国映画が好きな人にとっての『韓国映画100選』。この本を書棚に並べておくと、韓国映画への愛着がさらに高まってくる。
韓国映画の100年の歩み
韓国映画が好きな人にとって必読の書とも言える『韓国映画100選』。本書のもとになっているのは、2013年に創立40周年を迎えた韓国映像資料院が選定した『韓国映画100選』である。そこで選ばれた100作品は、まさに韓国映画の歩みを代表する名作ばかりだ。
そして、『韓国映画100選』の日本語版は、出版社のクオン社が運営する翻訳スクール「ノンフィクション翻訳コース」のプロジェクトから生まれた。その日本語版には、『怪しい彼女』『国際市場で逢いましょう』『新感染 ファイナル・エクスプレス』『タクシー運転手 約束は海を越えて』『パラサイト 半地下の家族』が加えられている。
振り返ってみれば、私(康熙奉〔カン・ヒボン〕)は20年ほど前に東京・神谷町にあった日韓文化交流基金の図書室で、古い韓国映画のビデオをよく借りていた。そのときに見た『馬鹿たちの行進』(1975年)などの一連の作品が本書で論じられていて、改めて韓国映画が持つ世界に強く惹かれる。
さらに、100選の作品を見ていくと、2月23日に東京で行なわれた記者会見でポン・ジュノ監督がクラシック(古典)として言及したキム・ギヨン監督の『下女』(1960年)も取り上げられている。
そのポン・ジュノ監督ならば、『殺人の追憶』、『グエムル―漢江の怪物―』、『母なる証明』が紹介されているし、日本語版には『パラサイト』が加わっている。
いずれにしても、本書は日本統治時代から各年代ごとに作品が整理されていて、韓国映画の100年の歩みを時系列で振り返るうえでも非常に貴重である。
しかも、卓越した書き手が名作について細かく論評してくれるので、たとえその映画を見ていなくても、映像が頭に浮かんでくるように面白い。そういう意味で、本をパラパラとめくるだけでもワクワクするような快楽がある。
また、100選の各映画の監督のプロフィールも載っていて、韓国映画界の著名な監督の系譜を知るうえでも役立つ。手に取って読めば読むほど、「よくぞ作ってくれました!」と実感する。
この本を発行してくれたクオン社、訳者を代表している桑畑優香さんに心からの敬意を表したい。
文=康 熙奉(カン ヒボン)
『韓国映画100選』
発行/クオン
編者/韓国映像資料院
翻訳/桑畑優香
価格/3500円+税
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