映画『1987』が描いた「6月民主抗争」とは何か

韓国映画の『1987』は、日本では『1987、ある闘いの真実』という邦題で2018年9月に公開されて好評を博した。この映画は1987年に韓国で起こった「6月民主抗争」を描いている。当時の時代背景を見てみよう。





ソウル大学生の拷問死

韓国は1970年代から1980年代にかけて、民主化を弾圧する軍事政権のもとで経済的に発展をとげた。
しかし、国民の生活が徐々に豊かになっていっても、在野勢力の不満は一向に解消されなかった。強圧的な取締りによって自主的な活動は極端に制限され、表現の自由も許されなかったからだ。
軍人出身の全斗煥(チョン・ドゥファン)は1980年8月に間接選挙制で大統領に就任して以来、時期がくれば平和的に政権を委譲すると表明していた。
しかし、7年間の大統領の任期が終盤にさしかかったとき、全斗煥は大統領制から議院内閣制への移行をはかるようになった。
この動きに対して野党は疑いの目を向けた。議院内閣制に変えて全斗煥は引き続き首相の座を維持して権力の保持につとめるのではないか、という猜疑心をもったのである。
学生たちの反全斗煥の動きが日増しに拡大した。その中で「朴鍾哲(パク・ジョンチョル)拷問死事件」が起こった。




朴鍾哲はソウル大学の学生だった。彼はデモの主導者と連携をはかっているとの嫌疑で連行された。
取調室で6人の警察官が学生を取り囲んで自白を強要した。しかし、朴鍾哲は何も語らなかった。業を煮やした警察官は、取調室の隅にある水槽に水を満たし、朴鍾哲の上半身を裸にして顔を水の中に強引に押し込んだ。当時の自白強要の常套手段であった水拷問である。
まだ21歳だった朴鍾哲は過酷な拷問によって1987年1月14日に死去した。
(ページ2に続く)

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