やっぱり面白い『トッケビ』1/コン・ユの解説

あまりテレビドラマに出演しないことで知られるコン・ユが、久しぶりにチャレンジしたドラマ……それが『トッケビ~君がくれた愛しい日々~』だった。彼は、このドラマについてどのように語っているのか。それを聞くと、さらに『トッケビ』の面白さが引き立ってくる。

写真=tvN『トッケビ』公式サイトより




ようやく見つけた安らぎ

『トッケビ』の中でコン・ユが演じたのは、胸に剣が刺さったまま900年以上もさまよっているキム・シンという主人公である。彼は胸の剣を抜いてくれる「トッケビの花嫁」を探していたが、それが高校3年生のウンタクだった。この役はキム・ゴウンが演じていた。
さらに、イ・ドンウクが扮した死神がキム・シンとウンタクにからんでくる。この人間模様についてコン・ユはこう語る。
「キム・シンの場合、死神やウンタクと出会って同居することによって、初めてみんなと一緒に日常を楽しめるようになったのでしょう。それ以前まで、ずっと寂しさに耐えて感情を抑えた彼が新しい友に出会ったのです」
この説明が的確だ。キム・シンは奇妙な同居生活の中でコミカルな表情を見せるが、それは、長く苦しい忍耐生活の中でようやく見つけた安らぎだったのである。そう考えると、キム・シンのひとときの喜びを視聴者もともに実感できる。




コン・ユはさらに言う。
「キム・シンが心の奥に抱えていた寂しさ、哀しさ、真実……。彼がたどってきた人生と歴史があるからこそ、視聴者に受け入れられたのでしょう」
キム・シンは900年以上も生きてきた。
そこに、どんな意味があるのか。
コン・ユの解説は次の通りだ。
「現実の世界でも、人はみんな愛する人たちとの永遠の別れを迎えなければなりません。私自身も経験していることです」
「一言で言えば、900年はとてつもなく長い時間です。キム・シンが屋上から世の中を見下ろしているとき、その表情はいつも寂しそうでしたが、それは人生を達観していたからではないでしょうか」
「彼は、多くの人が死んでいくのを1人で見送ってきました。そんな悲しい感情が蓄積されていって、それが彼の表情にあらわれていたのだと思います」
以上のように、コン・ユはキム・シンという立場で『トッケビ』を振り返った。




コン・ユが語るキム・シンの悲しみ……そこには、多くの人と別れなければならない人間の宿命が色濃く反映されていたのだろう。
そう考えると、『トッケビ』の描く不思議な世界に、より一層の愛着を感じることができる。
コン・ユは共演のイ・ドンウクについてこう語っている。
「イ・ドンウクさんとのシーンは、お互いにアドリブが多かったですね。現場であれほど笑いながら演じたのは初めてです」
「アドリブというと、たまに変な方向に行ってしまう人がいますが、イ・ドンウクさんは瞬発力があって最高でした。どんなアドリブもすべて受け止めてくれるんです。そのおかげで、シナリオにない予想外の展開になり、それによって新しいものを得ることもできました」
コン・ユが言うように、死神を演じたイ・ドンウクとのアドリブ対決は大いに盛り上がったようだ。
そうした撮影現場の楽しい雰囲気は、ドラマを通して視聴者にも十分伝わったことだろう。




ややもすると、生死を扱う『トッケビ』は重いテーマを抱えているように思えるが、コン・ユとイ・ドンウクがからむ場面というのは、思わず吹き出してしまうかのようにコミカルだった。
それもすべて、演じた2人のアドリブが冴えた結果だった。
そうした事実がわかると、同居しているキム・シンと死神がもめる場面がさらに愉快になってくる。
コン・ユはキム・ゴウンとの共演が楽しかったと言う。
「キム・ゴウンさんとは、以前から共演してみたかったんです。実際に共演してみると、想像以上にエネルギッシュな方で、楽しく演じることができました。私は、いつも本当に相手役の女優さんに恵まれます」
結局、俳優コン・ユは『トッケビ』を通して何を得たのか。
「私は、テレビドラマから何年も離れていました。良いお話はたくさんいただいたのですが、個人的に自信が持てなくてドラマの出演を断ったことがありました。実際に、ドラマより映画に興味を示したことも事実です。しかし、この『トッケビ』で撮影した日々は、私にとってとても大切な時間でした。『コーヒープリンス1号店』のときと同じ充実感を感じることができました」




さらにコン・ユはこう強調した。
「そういう意味では、この10年という時間は決して無駄ではなかったと思います。この『トッケビ』は、私の30代を飾る作品としてずっと心に残っていくことでしょう」
コン・ユが言うように、『トッケビ』は彼にとって特別な作品になった。
このドラマが傑作という評価を得た要因は様々だが、主役のコン・ユの熱演がとても大きかったことは言うまでもない。

構成=「韓流テスギ」編集部

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