仕事から見た王朝の名人/第4回・作家のホ・ギュン(許筠)

文豪という名声

こうして盗賊団の頭領になった吉童は、庶民から不当に財を奪い私腹を肥やす役人を標的にした義賊として活動を始めた。
しかし、各地で戦果をあげる吉童を世宗は見逃せなくなり。盗賊団の捕獲を命じるが、神秘的な術を操る吉童を捕まえることは出来なかった。
世宗から逃げ続ける吉童は「自分を兵曹判書(国防長官)にするなら出頭する」という札を国中に張り付けた。それを見た世宗は、吉童を野放しにするよりも自分の配下に置いたほうが賢明だと考え、彼の要望を受け入れた。こうして、吉童は妾の子でありながら高官になるという快挙を成し遂げた。
兵曹判書に任命された吉童だが、すぐに辞職して己の部下たちを連れて遠い異国の地に旅立った。吉童は旅先でも数々の困難をその神秘的な術と知性で切り抜けて新しい国を建国し、最後は雲に乗って天の国に旅立った。
以上が「洪吉童伝」のあらすじである。これを見てもわかるとおりホ・ギュンは、身分差別が激しい世間に対する不満を強く持っていた。




「洪吉童伝」を書いて数年、49歳になったホ・ギュンは反逆罪で捕らえられて処刑された。最期は不運だったが、彼が残した文章は絶大な評価を得た。こうしてホ・ギュンは文豪という評価をほしいままにした。

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