『愛の不時着』が日本でも大ヒットしたことで、ヒョンビンが大きく取り上げられるようになった。彼は長く第一線で韓国のドラマや映画を牽引してトップ俳優で、そのキャリアは光り輝いている。
信頼できる仲間
2005年に『私の名前はキム・サンスン』によって大ブレークを果たしてヒョンビンは、以後は2020年まで15年以上にわたってトップクラスの活躍を続けてきた。
そんな彼が、唯一キャリアに空白が生まれたのが、2011年からの兵役期間だった。
この兵役は、ヒョンビンをどう変えたのか。
最初に強調したいのは、兵役に臨んだときのヒョンビンの覚悟が尋常ではなかったということだ。とにかく、壮絶な覚悟を持って訓練に取り組んでいった。
当時のことをヒョンビンはこう語っている。
「ここで落伍したとしても、後悔はしたくないですね。やらないで後悔するよりは、やって後悔したほうがまだましじゃないですか。私がしている仕事は経験を積むことが大事なので、ここで過ごす経験が後でとても生きてくると思います」
こう語るように、ヒョンビンにはどんな苦難にも立ち向かえる準備ができていた。
「20代前半から、ずっと俳優の仕事をしてきました。海兵隊に志願して面接を受けましたが、そのときに考えていたのは、キム・テピョン(本名)という自分自身に対して“何をしていかなければならないのか”“将来に向けてどんな目標を持つべきか”ということだったのです」
訓練は本当に過酷だったが、心強かったことは、一緒に乗り越えていける同僚がいたことである。ヒョンビンも語っている。
「厳しい訓練が続き、もう耐えられないと観念した瞬間に周囲を見ると、他の人たちは同じ状況で耐えているじゃないですか。それで、私も耐えることができました。もし、私がここで倒れてしまったら、同じように倒れてしまう人も出てくるだろう。それではいけないから、必死に耐えたんです」
このように、ヒョンビンは過酷な訓練を乗り越えることができた理由を明解に述べている。信頼できる仲間がいることは本当に心強かった。
文=康 熙奉(カン ヒボン)
そこにヒョンビンがいるから4「研ぎ澄まされた演技力と存在感」