女性から見た王朝物語「第13回/貞純王后」

1800年、名君として名高い22代王・正祖(チョンジョ)が亡くなり、その息子が10歳の若さで23代王・純祖(スンジョ)として即位した。幼い純祖が王位についたのは、正祖には他に息子がいなかったからだ。しかし、成人もしていない王が政治をするのは無理があり、垂簾聴政を行なったのが、21代王・英祖(ヨンジョ)の二番目の正室だった貞純(チョンスン)王后(1745年~1805年)だった。

強い権力を持った貞純王后

名君と言われる英祖だが、息子の荘献(チャンホン)との不和の結果、荘献を米びつに閉じ込めて餓死させたことがあった。この事件に貞純王后も大きく関わっていた。
実は、貞純王后が英祖の妻になったのは14歳のときであり、義理の息子になる荘献のほうが10歳も年上で目ざわりだったのだ。貞純王后は荘献の良からぬ噂を英祖に吹聴したと言われている。
その後、荘献の息子・正祖が王位に就くが、彼は荘献を死に追いやった者たちを決して許さなかった。もちろん、貞純王后もその1人なのだが、“大王大妃(テワンテビ/王の祖母)”であることが幸いし、罪を問われることはなかった。




しかし、その一族や一派は政治的な権力を取りあげられ、静かに暮らすことを余儀なくされた。ところが、1800年に正祖が亡くなると、貞純王后は再び絶大な権力を握ることになる。正祖の死を看取ったのは、彼女だけだったからだ。
(ページ2に続く)

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