パク・ボゴムが主演して大ヒットした『雲が描いた月明り』。主人公は世子のイ・ヨンであった。このイ・ヨンは歴史的には孝明世子(ヒョミョンセジャ)として知られる。その両親と息子はどんな人物だっただろうか。
衝撃的な急死
パク・ボゴムが演じたイ・ヨンは、実在の人物であった孝明世子(ヒョミョンセジャ)がモデルになっていた。
孝明世子(1809~1830年)は、23代王・純祖(スンジョ/1790~1834年)の長男だった。
1827年、孝明世子は18歳で父の政治を代行するようになった。人事面や法制面で優れた統治能力を見せ、名君になる素養を感じさせた。
仮定の話だが、本当に孝明世子が即位していれば、朝鮮王朝の歴史は間違いなく良い方向に変わっていただろう。
しかし、寿命だけはどうしようもない。孝明世子は21歳で急死してしまった。その死を誰もが惜しんだ。
特に、息子の急死に衝撃を受けたのが、父の純祖だった。
彼はもともと、父の22代王・正祖(チョンジョ)が亡くなったあとに10歳で即位したために、21代王・英祖(ヨンジョ)の継妃だった貞純(チョンスン)王后の垂簾聴政(摂政のこと)を受けた。
このときの純祖は、貞純王后がとことん悪政を行なうのを黙って見ていることしかできなかった。
さらに、純祖は成人したあとも、正妻の純元(スヌォン)王后の実家である安東(アンドン)・金(キム)氏の一族に政治の実権を握られてしまった。
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