王朝の基盤を作った太宗/朝鮮王朝のよくわかる歴史2

野望が強い叔父

幼い端宗が頼ったのが金宗瑞(キム・ジョンソ)という老臣です。世宗の時代に北から侵攻してきた異民族を食い止める際に大きな功績を挙げた英雄で、別称が「大虎」。そう言われるくらい勇猛な人だったのです。
こうして、金宗瑞が後見人となって端宗を支えました。それでも端宗の王位は安泰とはいきません。
なぜなら、世宗の二男で端宗の叔父にあたる首陽大君(スヤンデグン)が露骨に王位を狙う動きをしていたからです。
兄弟の中で普通は長男に王位が行きますから、二男だと本来は出番がないのですが、この首陽大君は自信過剰で「俺が王にふさわしい」と思い込み、甥から王座を奪う策略を練ります。




実は、文宗も弟の首陽大君の野望を見抜いていました。「自分が死ねば、弟が王位を狙ってくるだろう」と察知していて、亡くなる間際まで金宗瑞に「絶対に息子を守ってくれ」と頼んでいます。
こうして端宗の王位をめぐって金宗瑞と首陽大君が激しく対立しました。

文=康 熙奉(カン ヒボン)

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