『殺人者の記憶法』はソル・ギョング、キム・ナムギル、オ・ダルスが出演しており、ミステリアスな展開の中で、スリル満点のシーンが続く。その中で特に注目したいのがキム・ナムギルの演技だ。彼にとって『殺人者の記憶法』への出演は、大きなチャレンジであったことだろう。
演じる必要性
俳優としての知名度が高くなれば、自分にとって安全な役を選ぼうとするのも不思議ではない。ファンが抱くイメージを壊さないように、ごく無難な役をこなしていく俳優も決して少なくない。
しかし、キム・ナムギルは違う。自分が築いてきた存在感をすっかり変えるというのは俳優として危険が伴うものだが、それでも挑戦し続けてきたのがキム・ナムギルの俳優魂だったと言える。
今回の『殺人者の記憶法』でキム・ナムギルが演じたミン・テジュという役は、生半可な気持ちでは演じられない特異なキャラクターである。
「あえて演じる必要がないのでは?」
そういう声もキム・ナムギルの周囲では起こっていたに違いない。しかし、彼は安全な役を続ける俳優ではない。演技の幅を広げるためには何が必要であるかをじかに悟るタイプの人間なのだ。
そこに、キム・ナムギルがミン・テジュを演じる必要性があったと言える。
(ページ2に続く)
『82年生まれ、キム・ジヨン』!2020年10月に日本で公開
「クラシック(古典)になりたい」とポン・ジュノ監督は言った!