さすがの「内助の功」
平岡姫はあきらめず温達の親子を説得しました。あまりの熱心さに温達がついに折れると、平岡姫は金の腕輪を売って生活必需品を買いそろえました。さらに、平岡姫は温達に言いました。
「馬を買ってきてください。ただし、商人から馬を買うと高いので、彼らが見放すような痩せた馬にしてください」
温達は言われたとおりにしました。
平岡姫が痩せた馬を熱心に世話したので、いつしか馬は肥えて大きくなりました。その馬に乗って温達は平岡王の狩りに飛び入りで参加して、獲物を一番多くとりました。そのとき、平岡王は初めて実物の温達を見て、大いに驚きました。
やがて戦になり、温達は最高の手柄をあげました。平岡王は心の底から喜びました。
「彼こそがウチの娘婿である」
平岡王はこう広言し、温達に高い官職を与えました。信じられないような大出世。もはや陰口でも「馬鹿の温達」と言う者はいなくなりました。すべては、内助の功を発揮した平岡姫のおかげだったのです。
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